考察と解釈と鑑賞

曲の歌詞・映画・その他さまざまな物語の考察と解釈

あいみょん『会いに行くのに』歌詞の意味・考察

歌詞引用の場合は「」を用いる。

2 〈〉は筆者として強調したい言葉に使用。

 

『会いに行くのに』  歌詞・作詞・作曲 あいみょん

 

※以下歌詞全文

 

 

冷蔵庫の中には 食べ損ねたラブレター
ひとつずつ ひとつずつ 白くなる

赤い小さな箱には 渡しそびれたリング
もう四月 もうひとつ 息を吐く

これが夢だったら 何度も繰り返して君を
何度も分かったふりをして 傷つけない方法を見つけたい

あと何回同じ冬を通り過ぎて 錆びたままの部屋で
君を待つのは寒すぎる 心ももたないよ

ああ 初めてのあの日に戻ったなら
明かりのない街も
愛して 愛を知って 会いに行くのに

零時過ぎた頃には望みなく眠るんだ
数えてる ひとつずつ 記憶を断つ

 

これは夢でした 頭抱えすぎた僕だから
何度も踏み込んで 転んで 傷つき日を跨ぎ朝になる

あと何回同じ服に袖通して よれたままの裾も
君が隣にいてくれたら 寒さもしのげそう

ああ 始まりは終わりを告げていたの
冷えた手のひらがもう
忘れないで憶えていて 震えているぞ

あんなに近くにいたのに そんなに変わってないのに
やっぱり寒さには弱い もっかい君に触れたい

あと何回同じ冬を通り過ぎて 錆びたままの部屋で
君を待つのは寒すぎる 心ももたないよ

ああ 初めてのあの日に戻ったなら
明かりのない街も
愛して 愛を知って 会いに行くのに

会いに行くのに 会いに行くのに

 

 

 本記事ではあいみょんの『会いに行くのに』という歌について考察をしていく。初めに歌詞の解釈を行う。その次にMVの映像や音そのものを考察に取り入れてこの曲のさらなる理解を深める。そうした過程を通して最終的には曲全体がどのようなメッセージを伝えているのかを理解していきたい。

 ではここから歌詞の考察を行っていく。この曲を聞いて分かることは、この歌が〈恋人に振られた経験をした人(恐らく男)の目線で語られた曲〉だということだ。そう言える根拠となる歌詞を4つほどあげる。まず1つ目「何度も分かったふりをして 傷つけない方法を見つけたい」という歌詞だ。この箇所からは相手を傷つけてしまったことを後悔し、自分の悪い点を反省している様子が伺える。2つ目は「ああ 初めてのあの日に戻ったなら明かりのないあの街も愛して 愛を知って 会いに行くのに」という歌詞だ。ここには、付き合った初めからやり直したい、そしたら今度はちゃんと自分から積極的に行動を起こすのにという心情が述べられている。3つ目は「赤い小さな箱には渡しそびれたリング」という歌詞だ。この歌詞からは、男性(語り手)がプレゼントを渡そうとしていたのに渡せなかった、そうした様子が伺える。4つ目は「君が隣にいてくれたら 寒さもしのげそう」という歌詞だ。これは君が隣にいてくれたら良いのにというメッセージであり、逆に言えば今はいないということだろう。先ほどの3つ目と絡めるなら「渡しそびれたリング」は彼女がいなくなったから渡しそびれたのだと言える。以上4点が〈恋人に振られた経験をした人の目線で語られた曲〉と結論付けた根拠である。これはさすがに「振った側」の視点ではないだろうし、現在交際している恋人の様子でもないだろう。振られた側の後悔や寂しさを述べているはずだ。

 今述べたことを前提として、この歌のより具体的な解釈に踏み込んでいきたい。まず考えていきたいのは
【大問1】
〈付き合い始めてから別れるまでのこのカップルの関係性はどのようなものであったか。〉
 ということである。この問いについては〈①なぜ付き合うことになったか。〉〈②どのような付き合い方をしていたか。〉〈③どうして別れることになったか。〉という3つの小さな問に答えながら解答を考えていきたい。
 まず〈①なぜ付き合うことになったか。〉という点だ。これに端的に解答すれば〈彼女側からの強いアピールがあったから。〉ということだ。そう筆者が言う根拠の中心は「冷蔵庫の中には食べ損ねたラブレター」という歌詞である。このラブレターは男性が女性から貰ったものだろう(※後に述べる②の問に関する考察からも語り手の男性側が書いたものだということは考えにくい)。女性からラブレターを貰ってそれを保管しておいたという状況だ。普通に考えるならば、このラブレターに付き合って欲しい旨が書いてあり男性はそれに対してOKを出した、という流れだろう。このことから分かるのは元々女性の方が男性のことをとても好いていた、ということである。ラブレターを渡すという本気度が伝わる行為からこのことが言える。よって〈彼女側からの強いアピールがあったから〉二人は付き合うことになったのである。
 次に〈②どのような付き合い方をしていたか。〉という点である。これも先に解答すれば〈彼女が一方的に彼に尽くしてあげていた。〉というものになる。そう述べる根拠は「錆びたままの部屋で」と「よれたままの裾も」という箇所である。まずは「錆びたままの部屋で」の箇所について述べていく。そもそもなぜ部屋は「錆びた」のか。一般的に錆びが発生するのは手入れを怠るからだろう。自転車のギアなどは〈錆び〉の代表例だが、それは汚れを放っておいたり、雨風に晒したままにしたり、オイルをささなかった場合である。つまるところ手入れをしない場合に起こるのが〈錆び〉だ。それをこの男性の部屋に当てはめれば、この部屋は手入れをされないまま放置された部屋だということだ。それで錆びてしまったのだ。けれどもなぜ手入れがされないのだろうか。この部屋の住人である男性は居るのに。それは彼女が、その手入れを行ってくれていたからではないだろうか。付き合っている当時彼女が彼の部屋のあれこれをやってくれていたからではないだろうか。そう考察する理由として、先ほどの①の問への解答〈彼女側からの強いアピールがあったから。〉があげられる。それはこの女性が男性のことを強く好いていた、ということでもある。そうした女性が彼と付き合えることになったら、いろいろと彼に尽くすようになるというのは無理な推測ではないだろう。また、この女性が彼の家のことを色々とやってあげていたと主張する根拠はもう一つある。この歌は彼女に振られた後いくらか時間が経った時点の男の視点で描かれている。そのことを鑑みれば「錆びたままの部屋で」とは〈彼女がいなくなってそれから錆びたままの部屋〉だと言えないだろうか。彼女がいた時は彼女のおかげで錆びていなかったが、彼女がいなくなったので手入れをする人がおらず錆びてしまった、そんな文脈として読める。そして〈彼女が一方的に彼に尽くしてあげていた。〉と言えるもう1つの根拠がこの段落の前半部で述べた「よれたままの裾も」の箇所である。なぜ「よれたまま」なのだろうか。これもまた男性自身の服なのだから男性がやれば良いはずなのになぜ彼がやらないのか、と言えばやはり女性があれこれ世話を焼いてくれていたからだろう。裾まできちんとアイロンをかける、というのは世話を焼いてくれる女性の姿を想起させるものでもある。以上3点〈彼女が彼のことを大好きだった〉〈彼女がいなくなってから錆びてしまった〉「よれたままの裾」から、付き合っている時には〈彼女が一方的に彼に尽くしてあげていた。〉のだと結論付けたい。
 ひとまず〈②どのような付き合い方をしていたか。〉についての結論は出したがこの②の問についてさらに深堀したい。筆者にはこの問に対してもう1つ提出できる回答があるのである。それは〈デートの時は基本的に彼女が男性の家に遊びに来るという形だった〉ということである。そのように言える根拠は「錆びたままの部屋で君を待つのは寒すぎる」の箇所である。まずこの箇所から読み取れるのは、幾らか彼女を待った、ということである。幾らか待ったけれどもこのままでは寒すぎる、そうした男性の様子が読み取れる。ではなぜ男性は探しに行くとか会いにいく、でなく待ったのだろうか。ものすごく単純だが彼女を待っていた理由は、〈彼女がやってくるかもしれないから〉だろう。誰かが来るから待つのだから。したがってこの歌詞からは〈彼女がやってくることを待つ男の姿勢〉が見いだされる。さらにもう一つ触れたいのはサビの箇所の「はじめてのあの日にもどったなら」「会いに行くのに」という歌詞である。これはその語り口から言って〈もう一度最初からやり直せるならこうするのに〉という後悔を述べていよう。逆に言えば、付き合っていた頃にはできなかったことでもある。この「会いに行くのに」の箇所からは付き合っていた当時は男性の方から彼女に会いに行くことはなかった、そんな状態だったことが推察される。ではどうやって彼と彼女は会うのだろうか。答えは単純で、彼女から彼に会いに行くということだ。彼女が彼の家にやってくる、それが彼らの付き合い方なのだ。以上2点「錆びたままの部屋で君を待つ」という受身な彼の姿勢が読み取れる箇所と「会いに行くのに」という後悔の言葉から、さらに言えば先に考察した〈彼女が彼の家のあれこれを世話していた〉という箇所からデートの時はもっぱら〈彼の部屋に彼女が会いに来る〉そういう状況がお決まりだった、そのように結論付けた。
 以上で〈②どのような付き合い方をしていたか。〉という問への解答を示した。解答をまとめると〈基本的に彼女が彼の家に遊びに来るという形で、彼女が一方的に彼に尽くしてあげていた〉というものである。
 次に③〈どうして別れることになったのか〉という問に答えていきたい。これに端的に答えると〈彼女側の愛想が尽きたから。〉である。それではなぜそう読み取れるかというと「これが夢だったら 何度も繰り返して君を何度も分かったふりをして傷つけない方法を見つけたい」という歌詞を根拠としている。「これが夢だったら」「何度も分かったふりをして傷つけない方法をみつけたい」とある。「夢だったら」とあるならば、現実ではどうだったのだろうか?  無論「傷つけない方法を見つけ」るというあり方とは対照的なものだろう。それはきっと何度も繰り返し、分かったふりもしない、君のことは理解できないということをはっきり主張し、傷つけた、そんなあり方だろう。傷つけない方法を探すことすらせず、躊躇なく繰り返し傷つけたということである。このように、男性側は彼女の愛情や献身的な姿勢にまったく答えようとしなかったことが伺える。そのことから、幾ら尽くしても冷たい男性のあり方に対して〈彼女の愛想が尽きたから〉別れてしまったと言えるのではないだろうか。
 以上①~③の小さな各問に答える形で【大問1】〈付き合い始めてから別れるまでのこのカップルの関係性はどのようなものであったか。〉という問への解答をつくってきた。その解答をまとめると〈彼女の方が彼のことをとても好きでラブレターまで渡して付き合うことになった。彼女はデートの時には常に彼の家に行って、あれこれ尽くしてくれていた。しかしそんな彼女の想いを無下にして彼の方では彼女を傷つけるばかりであった。その結果として彼女は愛想を尽かして彼と別れることになった。〉ということである。

 こうした一連の流れを踏まえて、さらに考察を深めていく。次の問を大問2とする。
【大問2】
〈「赤い小さな箱には渡しそびれたリング」とあるが、ここからどのような事情があったことが読み取れるか。〉
 色々なことが示唆されているように見える一節だが、どのような意味が読み取れるだろうか。この件について3つの問を提示し、それに応える形で【大問2】について答えていきたい。3つの問とは〈①男性はなぜ「リング」を渡そうとしたか(先ほど考察したが、あれほど女性に冷たかったのになぜ、ということ)。〉〈②この「リング」はいつ渡すつもりだったのか。〉〈③なぜ渡しそびれてしまったのか。〉この3点である。
 まずは〈①男性はなぜ「リング」を渡そうとしたか。〉である。端的に答えると〈女性のことが好きになったから〉である。「リング」を渡そうとしている時点で好きだという気持ちがあるということは明白だろう。ではなぜそう変わったかのか。分かった振りさえしないで彼女を傷つけ、自分からは会いに行かなかった彼がどうしてリングをプレゼントするほど好きになったのか。その理由をここまで述べて来たことの中から理解していく。なぜ好きになったかと言えば〈彼女の愛情が伝わったから〉である。彼女は自分からラブレターを渡し、毎回彼の家に会いに来てくれ、そして彼のために尽くしてくれていた。そんな愛情や優しさが伝わったということが主な理由だろう(厳密に言えばこの歌詞からはそれくらいしか根拠が読み取れない)。そうして彼の中に彼女のことを大切に思う気持ちが徐々に芽生えていったのではないだろうか。まとめると〈その献身的な姿勢から彼女の愛情が伝わり、彼女のことが好きになったから〉「リング」をあげようとしたのである。
 次に〈②この「リング」はいつ渡すつもりだったのか。〉という問いに答えていきたい。先に解答を述べれば〈クリスマス〉だ。なぜかというと、歌詞の中に「渡しそびれたリング もう四月 もうひとつ息を吐く」とあるからだ。この記述から、男性が「四月」より前の時期にこれを渡そうとしていたことが分かる。渡しそびれたあのときから時間が経って「もう四月」になってしまった、そういう文脈で捉えるのが自然だろう。では「四月」より前のいつ頃かと言えば3・2・1・12月の辺りだろう。ただし「もう四月」だから、渡そうと思っていた月は「四月」よりいくらか離れているのではないだろうか。渡そうと思っていた時からあっという間に時が過ぎて「もう四月」になってしまった、こう解釈するのが妥当だろう。そうすると2月、1月、12月、あたりが候補になるだろうか。この月の中で「リング」というプレゼントを男性が女性に送るにふさわしいのは何月だろうか。というと〈クリスマス〉が一番ふさわしいのではないかと筆者は考えたのである。
 最後に〈③なぜ渡しそびれてしまったのか。〉という問だ。先に解答を述べると、それは〈彼女がある日を境に彼の家に来なくなったから。〉である。先ほどの【大問1】のところの②の問で述べたが、この二人は基本的に彼女が彼の家に来るという形で会い続けていて彼から彼女には会いに行かない。ということは二人が実際に会う機会、すなわちプレゼントを渡せる機会は彼女が彼の家に会いに来た時のみである。裏返して言えば、彼女が会いに来なければプレゼントを渡せる機会はないのである。したがって、渡しそびれた理由は〈彼女がある日を境に彼の家に来なくなったから〉だと言える。彼女がクリスマスに来ると思っていたからプレゼントを準備していた。けれども彼女は来なかった。そのまま来なくなって気付けば「四月」になった。これが「渡しそびれたリング もう四月」の箇所が示す意味ではないだろうか。ちなみにそう解釈すれば二番の「零時過ぎた頃には望みなく眠るんだ」が、彼女が来てくれることを期待して待っていたが0時過ぎて、ああ今日も来ないんだな、そう感じて眠りにつく男性の様子だということが分かる。
 ではここで出て来ることが想定されるある反論を取り上げたい。それは〈ある日別れ話をされて振られただけじゃないの?〉という反論だ。しかしそれでは歌詞と整合性が取れない。別れ話をしてきっちり別れたのであるならば、なぜまだ彼女のためのプレゼントを持っているのか。さらに言えば「あと何回同じ冬を通り過ぎて 錆びたままの部屋で君を待つのは寒すぎる 心ももたないよ」の箇所である。これは、幾らか待ったけれどもこのままでは寒すぎるという意味だと先ほど述べた。幾らか待ったのである。12月(末)から4月までの実質3か月。なぜ別れたのに待ったのだろうか。もしきっちり別れたのなら待たないはずだ。待つ意味はないはずだ。以上の理由から〈ある日別れ話をされて振られただけじゃないの?〉という主張はこの歌詞とは整合性が取れないのである。そういうことではなくて〈彼女がある日を境に彼の家に来なくなったから〉、何の別れの挨拶もなくある日ふと来なくなった、だからこそ彼はまた彼女がやってきてくれるかもしれないと思い、リングを取っておいて彼女がまたいつも通りやってきてくれるのを待っていた、そう解釈するのがこの歌詞に対しては適切ではないだろうか。
 以上【大問2】〈「赤い小さな箱には渡しそびれたリング」とあるが、どのような事情があったことが読み取れるか。〉という問の解答を考えてきた。【大問1】の解答をも踏まえた上でここから読み取れることは〈女性の想いが(次第に、漸く)通じて男性の方でも彼女のことを大切に思う気持ちが芽生えた。そして思いのこもったプレゼントをあげようと思ったが、もうその時点で彼女は愛想を尽かしてしまいある日を境(クリスマス前)に彼の家に来なくなった。けれども、彼の方では直接に別れを言われたわけでもなく、また彼女のことを好きになっていたので4月までそのプレゼントを捨てることはできず、彼女がもしかしたら戻ってきてくれるのではないかと思って待っていた。〉ということである。

 ではここまでの内容【大問1】【大問2】の解答をまとめて提示したい。
〈彼女の方が彼のことをとても好きでラブレターまで書いて付き合うことになった。彼女はデートの時には常に彼の家に行って、あれこれ尽くしてくれていた。しかしそんな彼女の想いを無下にして彼の方では彼女を傷つけるばかりであった。その結果として彼女は彼への愛情を失っていった。だが一方で彼の方では漸く彼女の想いが通じて彼女への愛情が芽生えた。そうしてクリスマスにプレゼントを贈ろうと思った。しかしその時には彼女の愛情は冷めてしまって、彼女はある日を境に彼の家に来なくなった。男性は彼女がまたやってきてくれることに期待してリングを持って彼女を待っていたが「もう四月」になってしまった。〉これが、ここまでの段階でこの歌詞から読み取れることである。

 では次に【大問3】に移る。
【大問3】〈「冷蔵庫の中には 食べ損ねたラブレター ひとつずつ ひとつずつ 白くなる」という歌詞にはどのような意味が込められているか。〉
 3つ目の大問としてこの内容について考察していく。この箇所はかなり示唆的かつ意味の取りにくい箇所だろう。この問については〈①「冷蔵庫の中には食べ損ねたラブレター」〉〈②「ひとつずつ ひとつずつ白くなる」〉の2個所に分けて考察していく。
 ではまず〈①「冷蔵庫の中には食べ損ねたラブレター」〉の箇所である。そもそも「冷蔵庫の中」の「ラブレター」というのは比喩だろう。ラブレターを冷蔵庫に保管する人などいないのだから。では冷蔵庫は何の比喩か。冷蔵庫とは端的に言って〈冷たい箱〉である。内部に冷気が漂っている箱である。この歌詞の中ではそこに「ラブレター」が置いてある。それならば「冷蔵庫」とは〈男の部屋〉を指しているのではないだろうか。ラブレターが置いてあるのはこの部屋(=箱)だろう。また彼女に対して冷たく接するこの男がいる部屋は冷たい空間だろう。つまり「冷蔵庫」=〈冷たい箱〉=〈男の部屋〉だろう。この男の部屋に彼女から貰った「ラブレター」が置いてある、それは自然過ぎるほど自然な状況だ。では「食べ損ねた」とはどういうことだろう。食べる=内部に入れる=受け入れる、ということだろう。ラブレターには彼女の愛情がこもっている。そう考えるならばラブレターを食べ損ねたとは〈彼女の愛情、その気持ちをきちんと受け入れなかった〉という意味に取るのが妥当ではないだろうか。なぜなら、この男性は彼女が幾ら尽くしても彼女に冷たく接していたからだ。彼は彼女の愛情に応えようとしなかった。そうした姿勢は彼女の愛情をきちんと受け入れなかった彼のあり方を示していないだろうか。
 以上〈①「冷蔵庫の中には食べ損ねたラブレター」〉について考察した。この箇所の意味は〈この冷たい空気が流れる自分(男性)の部屋には、きちんと受け入れられなかった彼女の愛情が綴られたラブレターがある〉という意味である。
 では次に〈②「ひとつずつ ひとつずつ白くなる」〉の箇所の考察に移る。「白くなるのは」何か? それはラブレターに書かれた文字のことだろう。ただし勿論比喩的な意味で「白くなる」に過ぎない。なぜなら消えるインクで書いたとしても文字は勝手に消えないのだから。ではその比喩はどういう意味か。文字が消える=そこに書かれたものの意味が消える、意味を持たなくなるということであろう。ではラブレターに書かれたものとは何かといえば、彼女から彼への愛情だろう。つまり「ひとつずつ ひとつずつ白くなる」とは〈彼女の愛情がだんだん失われ(冷め)ていく〉ことを意味しているのではないだろうか。ではなぜその気持ちは〈失われ(冷め)ていく〉のだろうか。と言えば、彼女の愛情を彼が受け入れず冷たく接し続けたからである。〈冷たく〉接し続けたから愛情は〈冷める(白くなる=失われていく)〉のである。
 以上2か所に分けて考察したがそれらをまとめる形で【大問3】〈「冷蔵庫の中には 食べ損ねたラブレター ひとつずつ ひとつずつ 白くなる」という歌詞にはどのような意味が込められているか。〉という問いに答えたい。この箇所は〈この冷たい(人間のいる)部屋で、受け入れられることのないままにされた彼女の愛情は、彼との付き合いの中で段々と冷めていき、失われていった〉ということだろう。この箇所は【大問1・2】で考察した内容ときちんと重なり合う。この曲が持つ意味を象徴的に表した一節だと言える。

 次に【大問4】に移る。
【大問4】
〈「ああ 初めてのあの日に戻ったなら 明かりのない 街も愛して 愛を知って 会いに行くのに」の箇所にはどのような意味がこめられているか。〉
 歌詞そのものの考察の最後に上記のサビの箇所を取り上げる。今回は〈①「ああ 初めてのあの日に戻ったなら 明かりのない街も愛して愛を知って」〉と〈②会いに行くのに〉の2個所に分けて考察していく。
 2つの小問に答える前提として彼女が来なくなった12月から4月に至るまでの男性の心境がどのようなものだったか、そして4月である〈今〉の彼の心境がどのようなものかを述べたい。語り手の男性は12月には、彼女への愛情を抱き始めていた。しかしながら彼女は来なくなった。そして4月まで待ってもやっぱり来ない、そうした流れで語り手は現在の時点にいる。この12月から4月に至るまでの男性の心境は〈徐々に彼女が本当に戻ってこないことを実感していった〉というものではないだろうか。例えば12月だったら、大晦日には来るだろうと思えるはずである。1月なら、正月には来るだろうと。2月は望み薄だが、バレンタインに来てくれるかもしれないとも思えるだろう。けれども3月にはそんなイベントはないし4月になればもう新年度である。新しい出会いの季節である。したがって12月から4月へと時が移り行く中で〈徐々に彼女が本当に戻ってこないことを実感していった〉のではないだろうか。そう考えるとこの語り手の男性の今いる4月には彼の中にもう彼女はこないのだという強い確信が生まれているはずだ。そしてそんな確信と同時に、別れることになってしまった後悔を強く感じている。さらに言えば後悔を強く感じていることから、彼女のことを自分が大切に思っていることをも感じているだろう。それがこの語り手がいる4月の時点での彼の心境だ。
 以上のような前提を踏まえて〈①「ああ 初めてのあの日に戻ったなら 明かりのない街も愛して愛を知って」〉の考察に移る。特に「明かりのない街も愛して愛を知って」の箇所である。「明かりのない街」とはどのように感じられる場所であろうか。端的に言えば寂しい場所ではないだろうか。街に明かりがついていればそこには賑わいが感じられるし、愛着や親しみも感じられるだろう。けれども「明かり」が無いのだからそうした魅力は感じられない、そんな場所が「明かりのない街」だろう。ではなぜこの語り手は「明かりのない街も愛して」いけるのだろうか。この箇所、このシチュエーションにおいて彼はそもそも何のために「街」にやってきたか。無論それは「会いに行くのに」とあるように、彼女に会うためだ。彼女に会うために彼はやって来た。したがってこの街は彼女がいる街である。そしてここに彼女がいるからこそ愛することが出来る、そのようにこの歌詞は読み取れるのではないだろうか。つまり「明かりのない街も愛して愛を知って」というのは〈明かりがないゆえに寂しく、一見して愛着が持てないような場所でも、彼女がいるところだから愛することが出来て、そんな気持ちが愛だということを知って〉という意味ではないだろうか。そうして「会いに行くのに」と続くわけである。
 では次に〈②「会いに行くのに」〉の箇所に移る。この歌詞は曲中重要な意味を持っているはずだ。なぜならタイトルにもなり、サビにもなり、ラスサビにおいて最後を締めくくる語として3度も繰り返されているのだから。ではそんな重要な意味を持っていそうな「会いに行くのに」にはどのような意味が込められているのか。まず前提として語り手はこの地点で彼女と別れてしまったという確信と、そうなったことへの後悔を強く感じているということがある。「初めてのあの日に戻ったなら」「会いに行くのに」というところからも彼の後悔の念が込められた言葉だということは分かる。先ほどこの歌詞はこの曲の中で何度も繰り返されていると述べたが、そのことと併せて考えれば、この「会いに行くのに」には彼が持つ後悔の想いがこめられた言葉の中でも最も強い思いのこもった言葉だと言える。言い換えれば、もし初めに戻れるならやり直したいことの最たるものがこの「会いに行く」ということなのだろう。ではこの「会いに行くのに」という言葉に込められた思いとはどのようなものか。なぜ彼が一番やり直したいことが「会いに行く」ことなのか。それは【大問2】考察したことが根拠だろう。男性と付き合っている期間、その初めからずっと彼女は愛情を伝えてきてくれた。彼女の方から告白してくれて、ずっと彼の家に来てくれて、彼女の方から尽くしてくれた。それなのに彼の方は愛情を示してこなかった。そんなあり方が彼女との関係性を終わらせる主な原因だった。そのような【大問2】の内容に加えて、4月現在の彼の心境も先ほど述べた。それは、この男性が彼女との別れを確信し、後悔し、彼女を大切に思っていたことを感じているそのようなものだった。このような背景と現在の心境があるからこそ彼は今「会いに行くのに」と思っているのではないだろうか。彼女は自ら進んで愛情を与えてくれたのに自分からは決して彼女に愛情を示してこなかった、そうして大切な彼女を失ってしまった。今彼女のことを好きなのに、そのことを伝えることもできない。それが彼の今の思いだろう。そんな彼だからこそ〈もし今彼女と出会った初めに戻れるなら、今度は最初から、自分から、彼女に愛を伝えに行くのになあ〉そんな気持ちが「会いに行くのに」という言葉には込められているのではないだろうか。
 以上2か所に分けて【大問4】〈「ああ 初めてのあの日に戻ったなら 明かりのない 街も愛して 愛を知って 会いに行くのに」の箇所にはどのような意味がこめられているか。〉を考察してきた。解答をまとめるとこの箇所は(解釈の順番が少し前後するが) 〈彼女はずっと愛情をたくさん示してくれていたのに自分からは彼女に愛情を示さなくて、それで大切な彼女を失ってしまった。だからもし今彼女と出会った初めに戻れるなら、明かりのない寂しい街でもそこに彼女がいるからその場所を愛することが出来て、そんな気持ちが愛だということを知って、今度は最初から、自分から、彼女に愛を伝えに行くのになあ。〉そんな意味がここの歌詞には込められているのではないだろうか。

 以上4つの大問を立てて歌詞の考察を述べた、ここからはさらにそれをMVと絡めて考察していく。ここまでの考察において筆者はこの歌詞から〈彼女を大切にできなかった男性の深い後悔〉が読み取れる、端的に言えばそんな解釈をした。けれどもこの曲を聞いてみる(またはMVを視聴する)と、そこまで暗い雰囲気の曲ではないことに気付く。どちらかと言うと爽やかさが感じられる曲だ。そんな曲調から分かる通り、実はここの歌詞に込められた意味は単純に別れた彼女への後悔というものではないのである。ではこの歌詞にはどんな意味が込められているのか。ここからは【大問5】に行く。
【大問5】
〈歌詞の内容をこのMVに沿ってさらに深めていくと、この曲からさらにどのような意味が見出せるか。〉
 この問を考えたい。問の意味が分かりにくければ単純に〈歌詞の意味をさらに掘り下げる〉と考えてくれて良い。考察する手掛りとしてMVを用いる、ということに過ぎない。
 まず重要なのはこの語り手がいる時点は4月だということだ。歌詞の「もう四月」からもMVの1:21~1:26の箇所の桜の花びらが舞うシーンでもそれは明示されていることだ。その点に加えて歌詞の「君を待つのは寒すぎる 心ももたないよ」という箇所を取り上げる。まず前提として、彼女はもう戻ってこないことをこの男性は確信しているということだ。そうした心境を踏まえてこの部分の歌詞を解釈するなら〈もう戻ってこないことが分かっているのに、君を待ち続けるは辛すぎる〉ということだろう。好きな人が戻ってこないことを確信するということは強い悲しみを感じることであるはずだ。そしてそのままで待つということは〈強い悲しみを感じたままで居続ける〉ということになる。それは「心ももたない」のだろう。では「心ももたない」からどうするのだろうか? 死ぬのだろうか? 無論そういうことではなく、彼は〈待つのをやめる〉のだ。それは必然的な帰結のように思える。もう別れることが確定したのだからもう待つことは無駄である。なら〈待つのをやめる〉のが自然だろう。
 今述べたことを踏まえてさらに曲の歌詞全体の意味の理解を深めたい。この歌詞は全体としては後悔を歌っている。言い換えればこうすれば良かったという〈後悔を吐き出している〉のである。それこそ「傷つけない方法をみつけたい」とか「会いに行くのに」等の歌詞からよく分かることだ。彼女がもう来ないことを分かって〈後悔を吐き出して〉〈待つのをやめる〉のである。それはどのような行動に繋がっているかと言えば〈未練を断ち切って次に進むこと〉に繋がっているのではないだろうか。筆者がそのように言う理由は先ほどの〈後悔を吐き出して〉〈待つのをやめる〉ということに加えてもう一つある。それはこの曲の語り手がいる時点が4月であるということだ。4月は新年度だ。新しい出会いがあったり、全く新しい環境の中で生活を初めたりする季節だ。それは〈新たな一歩を踏み出す季節〉だとも言えるのではないだろうか。だからこそ4月になって、今ある〈後悔を吐き出して〉、来るはずのない彼女を〈待つのをやめる〉、そうして〈新たな一歩を踏み出す季節〉を迎える。この曲にはそうした過程を通して〈未練を断ち切って次に進むこと〉へ向かう語り手の姿が描かれているのだと思う。
 以上のことを前提とすればMVに描かれている内容の理解も深まっていくだろう。このMVの内容を端的に述べれば、近所をふらふら散歩している、というような内容ではないだろうか(電車に乗っているシーンも、ある種の近所をふらつく、という行為の範疇に含める)。少し詳しく言うと、家から外に出かけてふらふらと散歩しているのである。それはどのようなことを意味しているのだろうか。この曲の内容とどのような繋がりを持っているだろうか。それはここまで考察した内容から導き出せる。彼には後悔がある。それは自分から会いに行かなかった、というものである。彼はずっと自分の部屋の中にいて、付き合っている時も、そして4月に至るまで彼女を待つだけだった。けれどもそうした自分のあり方を悔いて、後悔を吐き出して〈未練を断ち切って次に進むこと〉へと向かう歌詞だとここまでで述べた。だからこそ彼は家から外に出たのではないだろうか。言い換えれば彼のそんな姿を表現したのがこの〈外に出かけている〉MVの描写なのではないだろうか。彼女への後悔を目一杯吐き出して、そのことに一区切りをつけて、ただ待つだけだった自分、部屋に閉じこもっていた冷たい自分、そんな自分を変えようと思って一歩踏み出す。自分から愛情を伝えに行く(部屋から出る)ことの出来るあり方へと変化していく。そんな姿を表現したのがこのMVの内容なのではないだろうか。
 そうした全体の構成に対する考察に加えて4:32~4:46では「会いに行くのに」の歌詞を3度続けて歌うシーンについて述べたい。そこではあいみょんが正面(こちら)を向いて歌う。それはつまり、真っすぐ前を向いて目一杯後悔を吐き出している、ということを表していないか。この場面は彼の最も強い思いの込められた言葉「会いに行くのに」が3度繰り返されているのだから。そして4:55~5:00では一旦はうつむく。ここは吐き出した後悔の重さを感じているのではないだろうか。口に出すということはそれを明確に感じているということだから。けれども5:00~5:05では顔を上げて、上を向くのである。この場面は特にこの歌詞の語り手が後悔を吐き出し、そうして過去に一区切りつけて前に進もうとする、上を向こうとする、そんな心情が表現されているように思える。そして5:06~は彼(あいみょん)の目の前に街の風景が広がっている、そんなシーンが続いて、映像が終わる。この一連の流れは、彼が後悔を吐き出して、前を向いて、そうして今彼の目にはいつもとは違った、いつもよりも広がった外の新しい世界が映っている、そんなことを意味しているはずだ。
 以上を踏まえて【大問5】〈歌詞の意味をこのMVに沿ってさらに深めていくと、この曲からさらにどのような意味が見出せるか〉ということに答える。この曲には〈ただ愛情を待つばかりの冷たい人間だった彼が自分の過ちを悔い、その思いを目一杯吐き出して過去のことに一区切りつけ、新しい一歩を踏み出す。待つのではなく自分から行動を起こしていくあり方に変わる。そうして少し広がった新しい世界に踏み出していく。〉そのようなことが表現されているのではないだろうか。
 

 では考察の最期の内容として、この曲の中で聞こえる特徴的な音について言及したい。それは、断続的に聞こえてくる木琴(?)の音である(違っていたら大変申し訳ないし何の楽器か明確に分かる人はご教授いただければ幸いです)。この音に関する問が【大問6】となる。
【大問6】
〈断続的に聞こえる木琴の音からどのような意味が読み取れるか。〉
 まずそもそもの前提として〈この音は何を表しているか。〉という問に答えたい。解答は2つある。1つ目が〈氷(または雪)が溶けて水が滴り落ちる音〉である。2つ目〈涙が滴り落ちる音〉だ。次にそれぞれなぜそのように言えるかを示す。まず。1つ目の〈氷(または雪)が溶けて水が滴り落ちる音〉だ。そもそもこの音が〈水が滴り落ちる音〉というのは良いだろう。ではなぜ〈氷が溶け〉た音と言えるのかというところが問題になる。筆者がこれを〈氷が溶け〉た音と言うのは、この歌詞が12月から4月に至る期間のことを歌ったものだからだ。つまり冬から春に向かう期間のことを歌ったものだ。この期間は次第に暖かくなり氷が溶けて春がやってくる期間だろう。だからこそ筆者はこの水の音を〈氷(または雪)が溶けて水が滴り落ちる音〉と推測した。次に2つ目の〈涙が滴り落ちる音〉と言う理由について述べる。まず〈水が滴り落ちる〉様子から涙を連想するのは無理やりなことではないだろう。ではこの曲と〈涙〉はどのような繋がりをもっているかと言えば、これは語り手の彼が流す後悔の涙だろう。なぜならこの歌は語り手が後悔を目一杯口にする歌だからだ。そこからこの音は〈涙が滴り落ちる音〉だと推測した。
 木琴の音はこの二つ〈氷(または雪)が溶けて水が滴り落ちる音〉〈涙が滴り落ちる音〉を表現していると述べた。ではそれを踏まえた上でこの音からどのような意味が読み取れるかを考えたい。先程も述べたが、この歌は冬から春に至る期間のことを歌ったものだということだ。その期間の中で、彼女がもうこの家に来ることがないことを彼は実感し後悔の念を深める。そうした思いが深まる過程は自分が彼女を大切に思っていることをより強く実感していく過程でもあろう。つまり冬から春に至る(彼女との別れを実感する)中で、自分が彼女のことを好きだということを徐々に徐々に強く感じるようになっていくのである。端的に言い換えると、冷たかった心が徐々にあたたかさを持つようになっていくということだ。そうして、現在時である4月においては自分が彼女を好きだということを最も強く感じながら、そんな彼女を大切にできなかった後悔を目一杯吐き出し涙している、そうした流れがこの曲から読み取れる。そのような彼女を思うあたたかな気持ちがより高まり涙するという流れは、冬から春へと季節が移り行く中で(大まかではあるが)次第に世界が暖かくなり、春には〈氷(または雪)が溶けて水が滴り落ちる〉情景と重なり合う。つまり、春が来て氷が溶けて水が滴る情景と、心のあたたかさが高まり涙する彼の姿との重なりを示唆する音としてこの木琴の音は存在しているのではないだろうか。
 ではこの彼の姿と冬から春へと至る自然の変化を重ね合わせることでどのような意味が読み取れるのだろうか。それは彼にとっての〈冬〉が終わり〈春〉がやって来たことを示しているのではないだろうか。暗く冷たく閉鎖的だった彼が、自分の内にある彼女への思いを実感し、人を大切にすることを知って、新しい一歩を踏み出す。そうしてあたたかな世界の中に向かっていく。この音は、そのような意味の奥行をこの曲に与えているのではないだろうか。
 以上のことを踏まえて【大問6】〈断続的に聞こえる木琴の音からどのような意味が読み取れるか。〉に答えると〈彼が次第に心のあたたかさを取り戻し、後悔の涙を流す、そうした過程を経て新しい一歩を踏み出して、あたたかい世界の中へと向かっていく、そんな意味が読み取れる。〉というものだ。

 ここまで【大問1~6】に答える形でこの曲が持つ意味について考察を深めて来た。全てをまとめるならば、〈彼女の方が彼のことをとても好きでラブレター貰って付き合うことになった。彼女はデートの時には常に彼の家に行って、あれこれ尽くしてくれていた。しかしそんな彼女の想いを無下にして彼の方では彼女を傷つけるばかりであった。その結果として彼女は彼への愛情を失っていった。だが一方で彼の方では漸く彼女の想いが通じて彼女への愛情が芽生えた。そうしてクリスマスにプレゼントを贈ろうと思った。しかし彼に受け入れられることの無かった彼女の愛情は既に冷めてしまって、彼女はある日を境に彼の家に来なくなった。男性は彼女がまたやってきてくれることに期待してリングを捨てずに彼女を待っていたが4月になってしまった。彼はこの時に彼女がもう決して戻ってこないことを確信した。そうして彼は後悔する。彼女はずっと愛情をたくさん示してくれていたのに自分からは彼女に愛情を示さなくて、それで大切な彼女を失ってしまった。だから彼はもし今彼女と出会った初めに戻れるなら、そこが寂しい街でもそこに彼女がいるからその場所を愛することが出来て、そんな気持ちが愛だということを知って、今度は最初から、自分から、彼女に愛を伝えに行くのになあ、そんな風に思う。そんな思いを彼は「会いに行くのに」という言葉として吐き出す。ただ愛情を待つばかりの冷たい人間だった彼は自分の過ちを悔いると同時に心のあたたかさを取り戻し、その思いを目一杯吐き出して涙し、過去のことに一区切りつける。そうして待つのではなく自分から行動を起こしていくあり方に変わろうと思う。彼は新しい一歩を踏み出して、あたたかい世界の中へと向かっていく。〉それが、この曲全体から読み取れる内容だろう。
 最後に、本当にごく簡潔にまとめるならこの歌には〈人が人として大きく成長する価値ある瞬間〉が描かれているのだと思う。